それこそ、東西の多くの近代戦術、戦略家達が基本中の基本としている事を、この女は・・・

 いくら看板であっても、この女をこのままネルフの作戦部長としておいて置く事自体、 損失以外の何物でもない事を、リツコは再認識した。
(因みに、ミサトは自分の所の装備もロクに知らない、相手の事も知ろうともしないから・・・
 運だけで戦っているんだね・・・それも他人の)

 そして、ミサトとリツコが言い合いをしていると、休憩が終わり、お披露目の時間になった。

 だが、2人は時間に気付かずに言い合いをしていた為、会場に現れなかった。

 その為、呼び出しの放送が会場内に流れ、それを聞いた2人はあわてて、会場の方に走っていく事となり、 大恥をかく事となった。










新起動世紀ヱヴァンガル改

第二十話 起動実験?

presented by とりもち様











 会場

『えぇ〜それでは、遅れていた皆様が、 やっと集合された所で、 お披露目の起動を開始したいと思います』

 司会者が言うと、あちらこちらで、失笑が・・・

 因みに、遅れていたのはミサト達だけである。

 リツコは恥ずかしくて、少し顔を赤くしているものの、必死に自制をして黙って外を見ている。

 ミサトは、平然と言うか、冷たい目で外を見ている。

 嫌味を言われている事に気付いていない。

 尤も、そのおかげで、リツコは助かっているが・・・

 そして、会場に大きな開始音が流れ、外の大きな建物の横に(何故か)あるプールが、二つに割れ、 中から、JAの代わりに、1台のロボットがせり上がって来た。

 それは、某黒いロボットかと思いきや、白、青、赤、それに黄色の目立つカラーリングのロボットだった。

「あれは・・・ガン○ム?」

 誰かが呟く。

「いや、違う・・・まさか・・・・」

 それを否定するように、誰かがそう言った。

「何・・・あれ?
(不細工ねぇ〜)」

 ミサトが呆然としながら、そう言った。

「さぁ?・・・
(あれは、系統的に、第16の機体に似ている・・・
 でも、最近まで、あそこも財団連も、一切、日本重化学共同体には関わっていなかったハズ・・・
 まさか、情報ミス?)」

 リツコは、機体の姿を見て、第16との関わりを疑った。
(まぁ、つい最近、関わり始めたのだが・・・)

『そう、あれが、我が日本重化学工業共同体が、某所から極秘裏に技術提供を受けて完成させた起動重機・・・
 モビルフォース・ガンガルです!!』

 司会者はそう叫んだ。
(本当は、向こうから、発表用の現品を貰って、一部の技術者や開発者が作り方等の授業を受けたのであるが・・・
 でも、まぁ、今は、一部の工場で量産体制に入っているし・・・)

 ほとんどの観客が、顎を外さんばかりに驚く。

 なぜなら、殆どの人間が、どこかで聞いた事のある名前だからだ。

 そう、往年のパチモノの代表作の名・・・

 本当にそれを出していいのかは、作者自身も不安だが・・・(おい)

『では、パイロットを、モニターへ映してみましょう!』

 そんな様子は無視して、司会者はそう叫んだ。

『うむ、こちらはガンガル・テスト機・08タイプ、時田シロウ・アマだ』

 モニターに、時田の姿が出た。

「「「「社長自らが乗っているのか!!」」」」

 多くの観客がそう言った。

『おや、社長、何ゆえ?
 最近、訓練用のモールに社長が乗り始めた事は聞いていましたが・・・
 まさか、この為だったんですか?』

 芝居がかったように、司会者がそう言った。

 仕組まれたハプニングだが、殆どの観客が、ガンガルの存在と行き成り、 今まで出てきていなかった日本重化学工業共同体の名目上の代表者である時田シロウ自身が、 突然、モニターに登場したので、驚いて気がついていない。

『うむ、やはり、これを動かすのは、精錬された専用のテストパイロットより、 普通の人間が扱った状態を見てもらった方がいいと思ってな。
 テストパイロットのサハラ君に頼んで代わってもらったのだ』

 時田が嬉々としてそう答えた。

 まぁ、本当のところは、そういう演出なのだが・・・

『おやおや、仕方ないですねぇ〜・・・
 では、社長、乗り心地はどうですか?』

 司会者が声をかけた。

『乗り心地は悪くない。
 椅子もモールよりもいいな。
 発進準備も出来ているぞ』

 うれしそうに、時田がそう言った。

『では、発進してください』

『ガンガル・08、時田シロウ・アマ(だ)発進する!』

 時田がそう言って、ガンガルを動かし始める。

 その動きは、スムーズで、確りとしたものだった。

 歩く、走る、跳ぶ、物を運ぶ等々・・・

 かなり精錬された動きである。

 コックピット内も、余り揺れていない。

 司会者は、緩衝軽減システムと、説明している。

 そして、別のガンガルが出てきて、パッレットガンらしきモノを時田の乗るガンガルに渡す。
(因みに時田の乗るガンガルの左肩には、08のマーキングがあり、それには06のマーキングが・・・)

 時田のガンガルは、受け取った銃を構え、離れた的を狙う。

 最初の数発は、外したものの、すぐに、的に当てていく。

『ちなみに、時田社長は、あれを動かす為に、専用の訓練を受けたプロではありません。
 軽くレクチャーを受け、ここ数日、仕事の片手間にシミュレーター・モールで訓練受けただけです。
 ゆえに、名乗りの最後にプロではなく、アマとつけていた訳ですが・・・
 更に、あのガンガル08タイプは、兵器ではなく、重機としての性能に比重を置いてありますので、 登録さえ済ませれば、訓練をさほど受けていないアマチュアでもある程度の作業ができます。
 また、中のコンピューターが動きを補正してくれるので、事故は更に少なくなります』

 司会者は更に説明していく。

「そんなに簡単な操作で動かすことができたら、犯罪に使われるのではないか?!」

 観客の1人がそう叫んだ。

 確かに、そんなに簡単に動かせるのなら、盗まれた時、簡単に犯罪に使われる事となる。

『大丈夫です。
 鍵と、認証IDカードを入れ、機体に登録されている人間かどうかのアイリス(網膜)チェックをパスして、 初めて、動くようになっています。
 しかも、オートナビゲーションや、衛星通信等の応用により、調べれば、誰が動かしているかどうかがわかります。
 ちなみに、時田社長は、先日、新型のテスト機、8号機に、ご自分のデータを登録したばかりですね』

 司会者はそう答えた。

「そんなもの、中を弄れば・・・」

『不当に、プログラムを弄れば、自壊プログラムにより、ソフトが抹消され、ただの大きな棺桶になってしまいます。
 更に、コンピューターにプログラムを入力する為の端末も、特殊使用ですので、 専用の機具でしか入力できませんし、無理矢理つなげば、それでシステムが崩壊しますから、 滅多な事では、弄られないでしょう。
 確かに、技術は常に進化していきます。
 しかし、それは我々も同じです。
 あれは、メンテナンスに加え、定期的に中身のバージョンアップも義務化することになっており、 世界各国、購入出来る国なら、それが受けられる事になっています』

 突っ込みを入れようとする観客に司会者はそう言った。

「そんなの、不可能じゃないのか?!」

 世界各国とは言うが、日本重化学工業共同体と言う名が示すとおり、全ての企業の拠点は、日本であり、 海外に支社はないに等しく、そんなサポートは出来ないハズだからだ。

『確かに、我々だけでしたら、不可能でしょう。
 ですが、この度、我々は世界財団連盟と協定を結ぶ事により、それが可能になりました。
 また、販売するお相手を限定させていただければ、更に抑えられますね』

 ココでハッキリ背後関係を司会者が発表した。

 確かに、世界財団連盟は、それこそ、世界中に拠点を持つ企業だ。

 ゼーレの支配力の強過ぎる所にはあまりないし、場所によってはまったく無いところもあるが、 そう言う場所は、本当に稀である。
(後は、近代文明を捨てきった場所くらいかな)

 何せ、今は、世界財団連盟関係の企業がなければ、まともにはやっていけない国しかないのだから・・・
(ゼーレ関係のみの企業しかないところは、資金を無理やり集めてきたつけで、 物価や税金が不相応過ぎる高さになっている為、棒収監場以外、過疎化が進み、やばくなっている)

 故に、世界中で、サポートを受ける事が出来るのである。
(元々、世界財団連盟の技術だし・・・)

 それに、販売する所や相手を限定すれば、更に犯罪に使われる確立は少ない。

 盗まれても、余程の事がない限り、使い物にはならない。

 盗むには、潜入し、機体に専用の機材で登録しないといけないのだから・・・
(しかも、登録先も限定するだろうし・・・)

 無論ココまで徹底した事をするのは、対ゼーレを視野に入れた考えからきている。

 それに、数を売って儲ける気はないので、良いのかも知れない。
(まぁ、戦闘機並みに、高価だし・・・)

 司会者は色々と説明をしていく。

 購入手続きの仕方、現在の購入先、訓練専用シミュレーター・モール、登録手続きについて等・・・

 だが・・・

「アレはネルフがすべて徴収します!」

 司会者が説明をしている最中に、いきなり、ミサトがそう叫んだ。

『・・・どういう事ですかな?』

 余りの事に、一瞬、呆然とした司会者が、ミサトを見て、静かにそう言った。

 周り(含むリツコ)も驚いたようにミサトを見る。

「だから、アレはネルフが有意義に使ってやるって言っているのよ!」

 そう断言するミサトの隣では、リツコが頭を抱え始める。

 周りもざわめき出す。

 何せ、今のネルフの状態は、財団連盟(シンジ達?)の意向を受けた日本政府と戦自が発表している為、 結構有名だからだ。
(第三新東京市以外では・・・)

『もしかして、お買い求めになるのですか?
 残念ですが、今のネルフには、そんな予算はないでしょう?
 我々が提示している最低限の基準も、まだ満たしていないですし・・・』

 呆れた様に、司会者がそう言った。

 確かに、今のネルフに買う予算はない。

 それどころか、出した被害に対する保証金すら、ろくに出せる状態ではないのだ。
(第三新東京市の地代だけは、ゼーレの老人達が纏めて出してくれていた為、 かろうじて、追い出されはしないが・・・)

 それに訓練機の購入もしていないし、信頼関係もない。

 不信関係ならあるが・・・
(どんな関係だ?)

「だから、すべて徴収するって言ってんのよ!」

 ミサトはそう叫んだ。

 つまり、一円も払うつもりはないらしい。

 ジャイアニズムであろうか?

 やはり、ネルフの現状を理解していない。

 まだネルフの特務権限が絶対無敵で、何事もかなえてくれる不思議な権力と勘違いをしている。

 そのミサトの隣で、頭を抱えていたリツコは、鞄をごそごそと漁っている。

『おやおや、そんな事が出来ると思っているのですか?
 我々は日本の企業であり、アレの最初の納入先は戦自ですよ。
 手続きも済んでいますし・・・
 まさか、それを横取り、いえ、強奪されるおつもりですか?』

 そう、戦自や日本国に所属する所のモノを無理やり徴収したら、トンでもない事になってしまう。

 因みに、トウジは、徴兵ではなく、志願兵と言う事にされていたりする。
(日本国民、しかも、子供だし)

「んなの、ネルフの特務権限の前には関係」

 関係ないと叫ぼうとするミサトに、リツコが、何かを向けて、スイッチを入れた。

 ぴと・・・

 バギ!!

「☆◇○△!!」

 ミサトが声にならない悲鳴を上げた瞬間、全員がミサトの骨格を見たような気がした。

 そのまま、崩れ落ちるように倒れるミサト・・・

 無論、その髪形は、アフロのようになっており、体中、焦げている。
(音もバチではなく、バギだったし・・・)

 何時の間にか、数メートル離れていたリツコの両手には、厚手のゴム手袋がはめられており、 更にその両手で持っている黒いモノは・・・

「「「「「「「「「『(スタンガン?)』」」」」」」」」」

 全員がそんな疑問を持った。

 まぁ、確かにスタンガンだが、普通の・・・と言うか、流通している?特殊使用のものよりも、 二周りは大きい銃タイプである。
(ワイヤーを飛ばし、そこから電流を流すタイプ・・・対象に触れず、離れて出来るのが利点)

 勿論、それはリツコが作った対ミサト用の特注であり、威力がトンでもない位ある。
(ミサトの近くにあったテーブルや、テーブルクロス、それに椅子なども焦げている)

 欠点は、充電に時間がかかり、更に、放電が大きすぎるので、一回の充電で、一回しか使えない事・・・

 また、威力があり過ぎて、普通の人間・・・いや、かなり鍛えられている軍人・・・

 いや、どんな猛獣でも、スタンガン本来の目的では使えない事だろうか・・・
(どのくらいの威力があるのだろう?)

「すいません、こちらの監督ミスです。
 ネルフを代表して謝罪します。
 今の発言は、無かった事にしてください。
 現在、彼女は錯乱しているようなので・・・」

 リツコはスタンガンをバックにしまって、一礼をしつつ謝った。

 まぁ、条約違反であるからそうであろう。

 下手をすれば、ネルフの存続が危ういし・・・

「・・・り、リツコ・・・アンタ・・・」

 何故か、意識があるのか、ピクピク動きつつ、小さいながらも声を発するミサト・・・

 実は慣れていて、既に耐性がついている?
(本当に人間・・・じゃないな(汗))

「私どもは、用事がありますので、ここで失礼させていただきます」

 動くミサトに焦りつつ、リツコはそう言って、外に居る黒服を呼び、ミサトを引きずって会場から、退場した。

 その後、発表会はつつがなく終わったらしい。








 ネルフ本部・会議室

 そこには、冬月、リツコ、諜報部長がいた。

 今回の詳細を報告するためでもあり、諜報部長にも、直接、それを聞かせる為でもある。

 何故、司令室ではなく、ココで報告を行うかと言うと、ゲンドウがまだ復活していないからである。
(夜な夜な、某ペンギンの夢を見つつ、唸っているらしい)

 因みに、ミサトは再び特別室行である。

 無論、帰る途中で、復活する前に、強力かつ大量の睡眠薬で動けなくして、放り込んだ。

 因みに、アフロのようになった髪の毛の殆どは、焦げて縮れた影響で、水分の大半がなくなり、 戻ってくる途中で、ぼろぼろに砕けてしまい、今は、バリカンで刈り、所々剃ったような頭になっているが・・・

「・・・葛城一尉の行動を始めとして、全てがシナリオ外でした。
 おそらく、様々な方面から抗議が来ると思いますが・・・
 それと、前もって我々が得ていた情報は全てダミーであり、まともなモノが無かった上に、 こちらの事が筒抜けでした。
(エヴァの製作年も、知っている可能性があるわね)
 当初予定されていた出資者の取り込みどころか、今まで潜らせていた草もほぼ刈り取られていくでしょう。
 そして、JAは起動させなかった為、JA内にある自壊プログラムが働いていませんので、 そのままプログラムを洗い流されると・・・
 それに、現在、JAは外部とは隔離されていますので、下手をすれば・・・」

 リツコが冬月にそう報告した。

 起動させなければ、暴走はないし、暴走がなければ、証拠を消すための自壊プログラムも働かないのである。

 証拠が思いっきり残っていると言う事である。

 諜報部長は顔を蒼くして、汗を大量に流しつつ、直立不動で立っている。

 下手をすれば、物理的に首が飛ぶ事になるからだ。
(ゲンドウが復帰していたら、即だったろうが・・・)

「・・・やはり、第16が関わっていたかね?」

 冬月は、諜報部長を無視しつつ、リツコにそう尋ねた。

「ハッキリとは申せませんが、財団連が関わっていた以上、そう考えるのが普通です。
 少なくとも、間接的には関わっていると考えられます」

 リツコはそう答えた。

「ふむ、完全にしてやられたと言う事か・・・
 それで、機体の方は?」

 リツコから提出された資料を見ながら、冬月がそう訊いた。

「アレは、完全に第16の機体の簡易、量産タイプと思われます。
 動きも、今までの使徒戦で第16が見せていたものよりも、鈍かったと思います。
 この資料が正しければ、マギが予想したエネルギーゲインの1/3程度ですね。
 ですが、既に量産体制が出来ているようですので、使い方によっては・・・」

「ふむ・・・使徒戦にも、使え・・・
 益々、我々の肩身が狭くなるという事か・・・」

 リツコの答えを聞いて、冬月がそう呟いた。

 そして、あの兵器、ガンガルは、最初、戦自に搬入されると聞いている。

 何機納入されるかはわからないが、けして少ない数ではないだろう。

 いくら性能が悪くても、数があれば、問題が無い可能性が多い。

 何せ、第16は、今までも、多い時でさえ、2機で使徒を葬ってきたのだから・・・

 つまり、下手をすれば、戦自も対使徒用の戦力を得たという事になる。

 それに、このまま、生産ライン等が進んでいけば、様々な軍が得る事になるだろう。
(一応、侵略や戦争目的に使ってはならないと言う条件があるらしいが・・・)

 ハッキリ言って拙い。

 ネルフの存在意義が無くなると言っても良い。

 コレでは、国連上層部に強力なコネ(ゼーレの草)があっても、 国連からは、ネルフに予算を捻出させる事は出来なくなるだろう。

 冬月は、ため息を吐く。

 そして、諜報部長を見る。

「で、君としてはどうする積もりかね?」

 冬月は諜報部長を見ながらそう尋ねた。

「は、はい、即座に、日本重化学工業共同体の工場に部下を潜入させ、JA内のプログラムを抹消させます。
 それと、その、実は、とある情報を仕入れまして・・・」

 汗を拭きながら諜報部長はそう言った。

 汚名返上、名誉挽回とばかりに、必死である。

「何かね?」

 冬月は眉を顰めながらそう言った。

「アレではなく、強力過ぎるが故に、封印されているらしい超兵器の事です」

「何かね、それは?」

 諜報部長の言葉に、更に怪訝な顔をしつつ、冬月はそう訊いた。

「この度、我々は、偽の情報をつかまされた事に反省し・・・
 時田重工を始め、今回我々を嵌めた企業連に対して、潜り込ませていた草を使わずに、 直接エージェントを潜入させました」

 ネルフのエージェントだけで、よく見つからなかったものである。

「すると、興味深い資料がありまして・・・
 それによると、ある工場に、アレの前に開発され、サンプルとして渡ったのですが、威力があり過ぎて、 量産が難しい為、封印されて、処分を待っているものがあるらしいのです」

「それで?」

 冬月は呆れたように、そう言った。

「それを手に入れることが出来れば、あるいは・・・」

「ネルフが、エヴァでないものに頼るというのかね?
 いや、そう言うものを使えると思うのかね?」

 どこと無く、失望したように冬月は言った。

 エヴァを使わないという事になれば、色々と(裏の方で)問題が出るし、 それを使えば、自分達が盗んだ事がバレ、色々と拙い事になるだろう。

「い、いえ、その技術を解析すれば、エヴァに応用が出来るのではと考えまして・・・
 少なくとも、それについている兵器は、エヴァに使えるのではないかと・・・
 それに、もし、出来なくとも、意趣返しが出来るのではと・・・」

 諜報部長は必死に説明をする。
(まぁ、命が掛かっているし・・・)

「ふむ・・・どう思うかね?」

 冬月はリツコにそう訊いた。

「モノを見てみないと分かりませんが・・・
 ガンガルの場合、シークレットボックスが多く、専用の機材が必要らしく、 更に、無理矢理、調べようとすれば、自壊プログラムにより、ただの屑鉄になってしまうらしいですので、 詳しく調べられる可能性は薄いです。
 ですが、それは、ガンガルの前の試作品、もしくは、マイナー化される前のテスト機でしょうし、 その様なモノはついていない可能性がありますので・・・」

 リツコはそう答えた。

「ふむ・・・モノを見てからだな。
 最近はテロが多いから気を付けるように・・・」

 冬月は、諜報部長をチラリと見ながら、そう言った。

 つまり、ネルフとはバレない様に、他に犯人を作って、盗って来いと言う事だろう。

「は、はい」

「ただし、六文儀が起きてくるまでだな。
 それまでに結果を出すように・・・」

「わ、分かりました!
 失礼します」

 諜報部長は、そう言って、慌てて出て行った。

「よろしいのですか?」

 リツコが冬月の優し過ぎる?配慮に、そう訊いた。

「今回は特別だよ。
 それに、鞭や恐怖、脅しダケでは、人はついてこんよ。
 飴や希望、チャンスも与えんとな。
 そうせんと、何か失敗した時、逃げ出すか、寝首をかきに来る。
 六文儀はそれが分かっておらんからな」

 冬月はそう答えた。

「それと、つくばの件ですが・・・」

 リツコが、声をかける。

「あぁ、確かに、レイの情報はハッキリするまで、伏せておかねばなるまい。
 おそらく、本当であっても、既につくばには居ないだろう。
 だが、六文儀が知ったら、現状を理解せず、暴走する可能性があるからな・・・」

 冬月はそう答えた。

 現在、レイの情報は、リツコ、冬月、ミサトと、保安部と諜報部の口の堅い数人しか知らない。

 裏というか、ゲンドウの子飼いでもある諜報三課、通称諜報特殊監査部のメンバーにも、 諸々の事情で、教えていないか、超一級の機密と言って、秘密にさせている。

 ゲンドウの暴走を防ぐ為だ。

 冬月は、組織維持の為に必死なのである。

「分かりました。
 それでは、そのように・・・」

 リツコもそう言って下がっていった。

「・・・六文儀、本当に、貴様のシナリオでは、修正可能で問題ないんだろうな」

 誰も居なくなった部屋で、冬月はそんな事を呟いていた。










To be continued...


(あとがき)

 う〜む、時田【シロウ=アマダ】ネタ、分かったでしょうか?
(ガンガル08小隊にしなかったし・・・)

 最初は・・・
「ガンガル08小隊一号機、時田シロウアマダ逝きまぁ〜す!」
ってやろうとしていたんですが・・・流石に・・・σ(^_^;)アセアセ…
(無論、1996年にあったMS08小隊のパロです。
 愛菜というキャラもいたんですが・・・露骨過ぎるかと思って)

 それと、ネルフ、ミサトの所為で、かなり、やばい状態ですね。

 人によっては、『たかが上級幹部1人の事で・・・』と言う方も居ますが考えてください。

 ただでさえ、好き勝手やっていて、他組織と言うか、世界中に負担ばかりかけていて、 嫌われていて、隠し事も多く、しかも、実績も無いどころか、失敗ばかりの組織・・・

 その上級幹部が、ボロというか、致命的なことをやりまくっているのに、 クビにもならず、外部から見れば、マトモな処罰も受けていないと見られる状態で、 その組織内に存在していれば・・・
(階級は下がっても作戦部長のままですし・・・)

 更に、その理由も話さなければ、その組織の存在自体を怪しく思いません?

 ミサトをクビか、銃殺にでもすれば、防げたのでしょうが、それをしないとなると、ミサトがやっている行動は、 その組織、トップが承認している事と言う事になりますからね。
(まさに犯罪組織)

 その上で、ミサトの懲りない行動、周りのマトモな組織は、ネルフを潰そうと色々と行動を起こすと言う事です。
(存在自体が不審の塊で、周りに負担を掛け捲るダケの組織ですから・・・)

 最低でも、ミサトを懲戒免職にし、タバシリにでもぶち込んだ事にして、閉じ込めていれば、 ココまでの事態にはなかったんでしょうが・・・

 まぁ、色々と都合があり、出来ませんからね。

 そう言うワケで、現在、ネルフはピンチなのです。

 早く、実績を作らないと、運営自体出来なくなるでしょう。
(因みに、国連からの予算の追加は、一切出なくなります。
 裏でゼーレからのみ、貰う事になりますが・・・)

 まぁ、この話はここまでにしておいて、次は等々、お待ちかねの某村を出します。
(要望が多いもので)

 無論、元ネタであるAK.さんに、許可は貰っていますので、ご安心を・・・



(もはや恒例と化した、ながちゃん@管理人のコメント)

ガンガル、ついに登場しましたね。目を閉じれば、その勇姿が瞼に浮かぶようです。
さて、今回のお話も面白かったですよ。さすがですね。ミサトの馬鹿ぶりが特に♪
もー完璧に救いようがありませんね、アレ。
ネルフはどんどん追い詰められていってるし……この馬鹿一人のせいで(笑)。
いやー、実に溜飲が下がる思いです。熱帯夜に、スッキリ爽やかとした気分になりました。
あと、封印されている超兵器とは、一体何でしょうね?
でも、ネルフを更なる窮地に誘い込むための罠の臭いがプンプンしてるのは、管理人の気のせいでしょうか?(汗)
諜報部長の企てもですが、果たして成功するんでしょうかね?
返って、目覚めたばかりのゲンドウにトドメを刺したりして…ぷぷぷ。いやー、そうなったら嬉しいですねー。
フフフ、もっともっとネルフをコケにして下さいね。だって面白いので♪
ではでは。次も期待してます♪

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