新起動世紀ヱヴァンガル改

第二十二話 ミサトと所員の信頼?関係?

presented by とりもち様


 ミサトは大型輸送ヘリに乗って、太平洋上を飛んでいた。

 ミサトは、公式の場に出る為の制服を着ているが・・・

 何ゆえか、ミサトは帽子まで、深くかぶっていた。

 アレだけ長かったハズの黒髪は見えない。

 実は、現在、ミサトの頭は丸坊主に近い状態なのである。
(お忘れの方へ・・・
前回のGG発表会で、ミサトは髪がボロボロになってから、そんなに時間が経ってないので、髪の毛が生え揃っていません)

 所々、短い髪が生えているものの、つるつるのところが多い下手な虎刈りより悪い状態なのだ。
(中途半端な為、ある意味、生えていないより、むごい状態である)

 その為、前のミサトを知る人が、今のミサトの姿を見れば、暫く、誰だかわからない状態となるだろう。

 それはともかく、今回、ミサトがヘリに乗っているのは、新横須賀港に到着する肆号機と伍号機の確認及び、電源ソケットの輸送、それに、新たに来る事となったチルドレンと顔合わせをする為である。

 ヘリに乗っているのは、ミサトと、黒服を着たゴツイお兄さん達である。

 だが、チルドレンであるトウジは居ない。

 無論、最初、ミサトは、この出張に、自分に懐いていないトウジを同行させ、親睦をはかろうとも考えていたのだが・・・
(【謀ろう】は誤字にあらず)

 諸所の都合というか、当然の如く、実現不可能だった。

 その辺を説明すると・・・


(以下・回想シーンです)




 独房に入っていたミサトは、某事情により、太平洋まで、出張をする為に、一旦、出される事となった。

 外部に行くのだからと、ミサトは風呂などの身なりを整える為の自由時間を与えられたのである。

 ミサトは風呂に入り、身なりを整えたのだが・・・

 そのまま、司令部に何も報告もせずに、トウジが居るハズの訓練所に向かったのである。
(無論、身なりを整えたら、命令や書類等を受け取る為、直ぐに副司令執務室へ来る様に言われていたのであるが、当然、聞いてはいなかった)

 そして、軽いリハビリをしているトウジを見るや否や、行き成り・・・

『フォース・チルドレンは、これより、太平洋まで、私に同行してもらいます!』

 と声高らかに宣言した。

 当然、彼のリハビリを担当していた看護士やガードについていた保安部員達が、ミサトの声を聞いた途端、トウジを護るように、慌てて、彼とミサトの間に立ち・・・

『はぁ〜?
 太平洋洋上にまで、彼を連れて行くだぁ〜?
 いったい、どう言う積りだ?』

『現在、ネルフ本部ここには、チルドレンが1人しか居ないのが分かって、言っているのか?』

『それなのに、本部、唯一のチルドレンである彼を、態々、そんな遠い所まで連れて行ってどうする気だ?』

 と怪訝そうな顔をしつつ、言い返した。

 実は、ネルフでは、アスカはいまだに行方不明となっている。

 記憶を失ったアスカが第16独立連隊の某基地内?にある某温泉テーマパーク?に居る事は、一部の反ゼーレ派の国連軍高官を除き、知られてもいない。
(因みに、現在、何時の間にかサルベージされてた母親と、温泉ペンギン達と共に、楽しく暮らしているらしい)

 その為、当然、ゼーレの子飼いであるネルフには知られていないのである。
(一応、あそこは一般公開されているはずだが・・・σ(^_^;)アセアセ…)

 まぁ、使徒戦が始まってから、ネルフは益々閉鎖的になっているので、知りようが無いだろうが・・・
(マギでも、第16独立連隊の基地内部の事を調べる事は出来ないし・・・
 寧ろ、あそこは灯台下暗し状態かな?)

 又、ケンスケは、某ネルフ関係者に保護?されたとは言え、まだチルドレンには就任していないのである。
(現在、某お薔薇な世界にドップリ沈められているらしいが・・・)

 つまり、ネルフ本部に在籍している正式なチルドレンは、トウジただ1人なのである。

 それなのに、そのたった一人のチルドレンを、有事でもないのに、本部から連れ出すと言うのは、もしもの時に、ネルフが機能できないと言う事であり、ネルフという組織の存続に対して、色々と致命的な問題が出てくるのである。

 まぁ、第三新東京市の近くに使徒が現れた時、チルドレンが居ないと言う事は、エヴァが動かせず、対処等がまったく出来ないと言う事なのだから・・・
(因みに、冬月と老人達の努力により、第三新東京市付近に使途が現れた場合、ネルフに使徒殲滅の優先権が与えられる事になっている)

 殲滅しようとして負けるどころか、出撃さえ出来なければ、唯でさえ、無駄飯食いどころか、世界各国に負担を増大させ、人類を破滅に導く事を使命とし、日々努力?している癌組織として、殲滅対象とされてしまう可能性が高いのである。
(まぁ、それはある意味、上層部や黒幕達に対しては正しい認識なのだろうが・・・)

 それに、トウジはまだ新しい足に慣れておらず、補助無しでは、遠くまでいけない状態である。

 その少年に、態々、しなくて良い出張をさせる事もかなり問題なのである。

 尤も、トウジは、チルドレンの時のアスカと比べる事は出来ないが、シンクロやエヴァを実際に動かす訓練により、エヴァでの戦闘がある程度出来るようになっている。
(ジオフロント内で、実際に動かした事もある)

 その為、戦力としても、かなり期待されている存在なのである。
(今度こそ、ネルフの手で殲滅できると・・・)

 特に裏の事情ゼーレを知らない所員(ミサトを除く)にとっては・・・

 故に、そこに居た所員達は・・・

『リハビリは勿論の事、チルドレンになって日が浅い彼は、戦場で生き残る為にも、訓練とか、やらねばならない事がたくさんあるのだぞ』

『それに、本部を空にしてどうする気だ?』

『正気の沙汰とは思えんな』

 と呆れたように言いつつ、目だけは真剣にミサトを睨んでいた。

『新しいチルドレンが来るから、親睦をはかる為にも会わせるのよ!』

 今度は、ミサトは【チルドレンの顔合わせ】を持ち出してきたが、しかし・・・

『あんの〜【顔合わせ】っち言いまんが・・・
 そない急ぎでやる事やあらへんやろし、本部でやればえぇんとちゃいまっか?』

 今度は猪の一番にトウジに突っ込まれた。

『そうだな。
 どうせ、相手はココに来るのだし・・・
 どんなに遅れても、二、三日も差は出ないだろう』

 因みに、今日の夕方に到着予定である。

『態々、それを早めるのには、何かメリットがあるのか?』

『俺には、輸送中の艦隊の所に連れて行ってまで、顔合わせをやる理由がわからん』

『私には、デメリットの方が多いとしか思えませんね』

『って言うか、何かメリットがあるのか?』

『ネルフにとっては無いでしょうね』

『寧ろ、致命的なデメリットしか思いつかないのですが・・・』

『そうだな、最悪だな』

『全く、何を考えているのやら・・・』

 と(トウジをミサトの魔の手から護る使命を持った)周りの大人達も、トウジに続くように、呆れたような口調で言った。

 また、この時点で、更に、武装をした大人達保安部や諜報部、整備部、技術部の勇士の方々が、この部屋に集まってきていたが・・・
(誰かが、連絡を入れたのである)

 ミサトは、それに気付かず、トウジとその間に立っている数人の大人達だけを見つつ・・・

『もしも、輸送隊の所に使徒が現れたらどうするのよ!
 その事を考えて、パイロットとしても、チルドレンである彼を連れて行くのよ!』


 と珍しく有事の例を持ち出し、胸を張って、宣言した。

 無論、ミサトは当てずっぽうで言っただけなのだが・・・

 実は、何故か、今までの使徒は太平洋方面から第三新東京市にやって来ているので、輸送艦隊と出くわす可能性があるのである。
(この世界ではそうだと言う事で)

 ミサトが珍しく、筋が(一応)通っている事を言った為、大人達は一瞬驚いた顔をするものの、すぐさま呆れたような顔に戻る。

『はぁ〜もしも使徒が輸送隊の所に現れた時に、その場にあるエヴァに乗せるだとぉ〜?
 寧ろ尚の事、彼をそんな危険な場所には連れて行かせるわけにはいかんな』

『大体、そんな時には、彼ではなく、そこにいる専属のチルドレンが乗るんじゃないか?』

『そうそう、アメリカからは、機体だけでなく、一緒に専属のチルドレンが乗っているのだからな』

 既に、アメリカから運ばれている機体には、専属となるフィフス・チルドレンに就任予定の子供が居り、一緒にやってきていると言う話は、全部所に報告書が回っていた。

 その為、ココに居る全員(トウジを含む)が知っていた。

『ど、ドイツからも新しい機体が来るでしょ!
 そっちはチルドレンが決まってないから、空いているのよ!』


 エヴァが二機ある事をミサトが言うと・・・
(珍しく、知っていたらしい)

『やってくるパイロットが1人なのに、エヴァは二機あるから、片方に乗せるってか?』

『おい、そんなロクに設備も無いような所で、コアの書き換えなどが出来るハズがないだろう』

『いくら閉鎖されたアメリカ支部からの資材や物資等も一緒にあるとは言ってもな・・・
 ドイツからくる機体は、一度、組み立てて、整備して、チェックしなければ使えないんだぞ』

『おそらく、設備ごとな』

 実は、ドイツから来る機体は未完成であり、使用不可能な状態である。

 なぜなら、弐号機をさっさと運んだ為、自分達が盲信している裏・死海文書の記述と、かなり外れてしまっているので、老人達が辻褄合わせの為にと、製作中の伍号機を強引にドイツから持って行かせる事になったからである。 
(現在、裏の私財を投げ打って、代わりの機体を秘密工場で作成中である・・・約束の時のために)

 まぁ、ネルフの戦力を増強し、ネルフが使徒を倒さないと、色々な意味で、老人達の立場もヤバイので、アメリカの完成した肆号機も送っているが・・・
(アメリカ⇒ドイツ⇒日本という航路を取ってもらっている)

 当然、伍号機が未完成で、本部で続きをすると言う通達は全部所にしてあり、整備部も伍号機を組み立てる為に準備をしていた。

 無論、独房内で、書類地獄にあっていたミサトにも回っていたのだが、ロクに読んでいなかった為、その辺も知らなかったのであった。

『例え、現場で調整が可能であるとしても、何人技術部を連れて行く気だ?』

 現場で、急いで組み立て、調整するとしたら、それこそ、数十人単位で、連れて行っても足りないだろう。

 無論、ミサトはそんな事考えても居なかった。

 むしろ、周りの大人達をトウジから引き離そうとしていたので、その辺は考えてもいなかったのである。

『既に専用機参号機も在るし、態々、そんな機材のそろっていない所に行って、不完全な機体のシステムを合わせる事自体無謀かつ無駄だな』

『彼に合わせるにしても、報告書のデータによれば、正規の施設でも、一ヶ月程度では終わらんぞ』

『つまり、彼は今運ばれている機体には、どちらにも乗れないという事だな』

 と、次々に突っ込まれた。

『へ?・・・
 同じチルドレンなのに、肆号機アメリカからの機体にも乗れないの?』

 ココで、ミサトは唖然とした顔をし、基本を忘れていた事を暗に暴露してしまった。
(というか、書類を読んでいなかったので、チルドレンなら、どのエヴァに乗れると思い違いをしていた)

『チルドレンがエヴァに乗れると言っても、エヴァのシステムを乗るチルドレンのパターンに合わせなければ、動かせないのは常識だが・・・』

『寧ろ、強引に乗せ、シンクロさせたら、シンクロした者が精神汚染を受ける恐れがあるんだよな』
(表向き、ネルフではその様にいわれています)

『あぁ、パターンがほとんど同じでない限りな。
 それが起こりうる可能性は、 十億分の一(1/1000000000)%オーナインくらいの確立だぞ』

『だから、エヴァはシステムを合わせた専属のチルドレンで無いとシンクロさせてはならない。
 これは基本中の基本の、その又初歩の初歩だ』

『因みに、技術部や整備部でない作戦部はおろか、保安部、諜報部にいたるまで、チルドレンに関わる部署、全てに資料が回っているハズだが?』

『(まぁ、正規のチルドレンが乗っていて、一緒に乗った者にチルドレンの素養があれば、正規のチルドレンを仲介するから、悪影響が少ないらしいが・・・言ったら拙いよな。
 それを理由にしようとするだろうし)』
(ダブルシンクロのことである)

 周りは激しく同意し、益々、ミサトを白い目で睨む。

 作戦部長という要職にありながら、その程度の事も知らないのかと言う目で・・・

 無論、最初の頃のミサトなら、他のエヴァに乗る時は調整が必要であると言われているくらいは、知っていたかもしれないが、ココ最近のストレスから来る 某進化?の為に起こった?某所の劣化により、スコンと頭から消えていたのだろう。

 尤も、実際には、コアに魂を封じ込めているのであれば、知り合いでない限り、シンクロは不可能だし、精神汚染も、強引に神経接続をしない限り起こらないのである。

 つまり、逆に言えば、知り合いであれば、シンクロする可能性が高いのである。
(動かせるかどうかは別な話だが)

 尤も、試しにと大人がやってシンクロした日には、最低でも、特別に少年少女兵の徴兵を認めさせてきたネルフ上層部の立場が危うくなる(最低でも、偽証罪で独房?行きになる)ので、建前上、マルドゥーク機関が選んだ適格者チルドレン以外、乗ったらヤバイ事になると言う話を流しているのである。

 まぁ、実際、碇ユイと初号機、惣流キョウコ=ツェッペリンと弐号機のシンクロ実験の記録(表?向き消滅と精神汚染ということになっている)がある為、それは真実として固定されているが・・・

『むしろ、そんな所に行って、現状でエヴァを動かせる唯一のチルドレンである彼に、もしもの事が遭ったらどうする気だ?』

『それに、決まっていないドイツの機体どころか、チルドレンの居るアメリカの方も、まだロクに調整もされていないから、まともに動けないらしいぞ』

 肆号機も、届き次第、本部でチェックする予定になっているのである。

『もしコアの変換が出来る機材があったとしても!
 そんな緊急の事態では、 そんな悠長な事コアの調整をする時間の余裕は無いだろうが!』


『更に言っておくがな・・・
 アメリカの肆号機は基本であるB型装備のままで、 その場海上で使う事は、一切考えられて居らず、ドイツの伍号機にいたってはまだ四肢が着いていないと、回されて来た資料にかかれていたぞ』

『肆号機が未調整のまま送られてくるのは、アメリカ支部が閉鎖されたからだし、ドイツの方も、支部が縮小されて、建造の続きが出来なくなったから、こちらに押し付けるように送っているのだからな』

『だいたい、襲われた時の為に、輸送隊には護衛艦隊がいるのだろうが・・・』
(この世界で唯一使徒を殲滅した?組織である為、信頼度は非常に高い・・・元々だが・・・)

『それに、行き成り、第三新東京市付近に使徒が現れた時、本部にチルドレンが居なくてどうする気なのだ?』

 と責められた。

『き、緊急時には連れて帰って来れば良いでしょ!』

 とミサトは言い返したが・・・

『はぁ〜?
 緊急時には、連れ帰る・・・だとぉ〜?
 だったら、最初からつれていくな!』

『もしもの事が遭ったらどうする気だ?
 護衛艦隊と使徒がぶつかるとか』

『参号機のない彼がそこに居ても意味がないだろう』

 当然、そう言い返された。

『そ、そん時は、向こうの空いているエヴァに乗せれば・・・』

『あぁ〜?
 空いているエヴァに乗せるだとぉ〜?
 貴様は先ほどからの話を聞いていたのか?!』

『だいたい、連れ帰って、また行くよりも、最初からココに居て、参号機で行った方がいいだろうが!』

 と呆れたような返答がやってきたが・・・

『な、何でよ!』

 と、ミサトはつい言ってしまった。

 因みに、ミサトは【何で自分の邪魔をするのか】という意味で言ったのだったのだが・・・

『なぜだとぉ〜?
 ココで参号機をM型装備に換装しつつ!
 チルドレンを載せ!
 救援の要請が入り次第、現場に急行させ!
 起動させた方が当然早いし、効率が良い!
 更に、手続き上も問題がないからに決まっているだろうが!
 何故その程度の事もわからん!』


 と、日頃の行いから、別の意味に受け取られ、怒鳴られてしまった。

 当然そうなると、頭に血が上がり・・・

『じゃ、最初からM型装備をさせた参号機を一緒に持っていけばいいでしょ!』

 と、ミサトは怒鳴ってしまった。

『はぁ?・・・参号機を?
 不測の事態が起こっておらず、要請もないのに、態々、エヴァを持って行ってどうする?
 不測の事態が起こった時に護衛する為の護衛艦隊だろ?』

『そんな事をしたら、向こうに余計な威嚇をする事になるんだぞ!』

『それに、こっちに現れた時は動する気だ?!』

『これ以上、ウチの立場を悪くするつもりか?!』

 と、当たり前のように突っ込まれてしまう。

『大体、ウチにそんな余剰な金は無い!
 持って行きたいなら、かかる金は全部、貴様のポケットマネーで出せ!』


 当たり前の事だが、エヴァの輸送、換装、動かす為の電気等には、金が非常に掛かる。

 その金額は少なくとも、ミサトが元の階級で、順調に出世して行き、ボーナスが出たとして、それらを税金を払わず、全額加えたとしても、1、2年程度では貯まらない位の費用がかかるだろう。
(人件費、電気燃料代、修理費、有事以外の空港、空路使用料、消耗品等など)

 使徒戦という名目なら、有事と言う事で、使用権や特別予算も出して貰えるかもしれないが・・・

 それ以外でだと、どんなに請求しても、無駄に使ったとされ、今のネルフには1銭も出ないのである。

 仮に現場に使徒が出て、ネルフのエヴァで倒せたとしても、行きの分は、要請外ということで、それ以外の費用も値切られるだろう。

 今までの対応が対応だった為、殲滅にかかった費用も、正式に調べられ、更に損害分を引かれることになるのは目に見えているし、下手をすれば、一銭も入ってこない可能性が高いのだ。
(某司令と某作戦部長の所為である)

 また、倒せなければ、エヴァの費用だけでなく、使徒が出した被害分も全部ネルフに請求が来る事になるだろう。
(ネルフが余計な事をした為と言われて・・・)

『それに、電源はどうする?』

『そんなの、非常用のソケットを・・・』

『まさか、ソケットを持っていくからOKだぁ〜とでも言うつもりかぁ〜?』

『エヴァを運んでいる輸送タンカーにはエヴァの電力を賄えるだけの発電機もなければ、接続できる装置もないぞ』

『まさか、向こうから電気を買うとでも言う気か?』

 当然のように、そう返した。

 護衛についている第16独立連隊は、一応、国連所属の軍と言う事には表向きなっているものの、実際は、財団連の私兵であり、国連に委託されて護衛や警備をしているのである。

 言わば営利団体と言う性質も持っているので、その辺はドライであるし、ある意味、某作戦部長を始めとするネルフ上層部の所為で、良い感情をもたれていないのは判り切っているので、無料で電気を分けてくれる可能性はないだろう。

 高値で売りつけられるどころか、少しも分けてくれない可能性の方が高いのである。

『こ、これは上から』

 ミサトは苦し紛れに、権限を持ち出そうとしたが・・・

『上からの命令という気か?』

『コッチには彼どころか、
 “エヴァ参号機を持って行かせる”と言うようなたわけた指令はきておらん!』

『そんな余分な予算もない!』

 慣れている者達が、ミサトが言い切る前にその言い訳を潰した。

『だいたい、フォースをそんな所に連れて行って、本当は何をする気なのだか・・・』

『洗脳? それともまさか・・・』

 そして、誰かがポロッと漏らした言葉の後、その場に居た大人達、全員が警戒し、(殺気を出しつつ)ミサトを睨む。

『わ、ワイ、まだ、リハビリとか、訓練とかがありまんで・・・』

 トウジはそう言い、看護士に補助してもらいながら、慌てて、その場からというか、ミサトから慌てて逃げ出した。

『ちょ、チョッとまちなさ』

 無論、ミサトは、慌てて、逃げるトウジを呼び?止めようとするが・・・

『まて、アンタと違い、彼には、彼の仕事があるんだぞ』

『そうだ!
 アンタにそれを邪魔する権限は無いハズだ!』


 大人達は追いかけようとするミサトの進路を邪魔して行かせない様にした。

『作戦部長権限よ!
 どきなさい!』


 と、ミサトは当然のように、作戦部長の権限を持ち出す。

『はぁ?
 この前から、アンタの権限は凍結されているだろうが・・・』

『だいたい、今まで、アンタの指揮とやらで、一体でも使徒を倒せた事があったか?』

『ないな・・・』

『寧ろ、余計な被害を激増させた事しかない』

『ぬぁんでぇすってぇ〜〜〜!!』

 ココで、切れたミサトが言った相手に襲い掛かるが・・・

 当然、近くに控えていた保安部、諜報部員達に、即座に取り押さえられたのであった。

 また、取り押さえた後、即座に苦情を司令部に入れた為、執務室でミサトを待っていた冬月とリツコが、慌てて現場にやってきて、直々にトウジを同行させるのを却下したのである。

 つまり、また許可なしどころか、報告も、相談も、連絡もせずに勝手に行動していたのが、公式に暴露されたである。
(まぁ、もともとバレバレだったが・・・)

 勿論、却下を言い渡された時、当然の如く、ミサトは・・・

『作戦部長たる自分を信じられないのですか!』

 と冬月に怒鳴ったが・・・

 その場に居た全員に白い目で睨まれつつ・・・

『当たり前だ!』
『日頃の行いよ・・・』
『『『『だから、階級が再び落ちたんだろうが!』』』』
『『『『権限も凍結されたし・・・』』』』

 と怒鳴り返された。

 また、ネルフ上層部冬月&リツコでは、問題が起こらないように、当初の(表向きの)予定通り、新横須賀港で受け渡しをするか、ミサトを向かわせず、代理人をとも、考えたが・・・

 そこはそれ、あくまで、自分達のシナリオに拘る某委員会の固執派や、ネルフ司令である(何故か負傷して入院中の)ゲンドウからも、ミサトを太平洋に出張させるようにと、命令が出されたのである。
(ミサトから権限を奪い、階級を下げたままにする交換条件でもあったりする)

 まぁ、つまり、老人達が盲信する某ずれまくっている預言書?モドキの事情により、ミサトを太平洋洋上に持って行く必要があるからだ。
(某髭の修正不可能な歪んで壊れきったシナリオの為にも)

 無論、フォローというか、ミサトの監視をさせる為に、赤木博士を一緒に逝かせる?事も検討されたが・・・
(ある意味、誤字にあらず・・・)

 もしもの事を考え・・・と言うか、誰かさんの所為で仕事が増えまくっている冬月が却下したのである。
(リツコも、仕事が多量にあるので、これ以上、負担が増えるのを嫌がった)

 その代わり、相手との衝突を考え、ミサトの監視役として、保安部から猛者達+αが同行する事となったのである。

 当然、彼等は、ミサトの護衛ではなく、肆号機、伍号機護衛してくれている相手の責任者や、新しいチルドレンとの衝突等を緩和する為についているのである。
(既に防ぐ事は諦めている?)

 その為、全員が、ミサトへ、死なない程度に攻撃する権限を、ミサトの目の前で、与えられた。

 無論、ミサトは、冬月に文句を言ったが・・・

 それ以前に、本来なら、ミサトはまだ独房に居なければならない身分である事や、前回の発表会での失態を理由に、即座に封じ込められた。

 尤も、問題を起こさなければ、独房に、えびちゅをこっそり差し入れすると、(呆れた顔をした)リツコに耳打ちされたのが、文句を言わなくなった原因であろうが・・・
(つまり帰ってきても、そのまま独房継続は確定であった)




(以上回想終わり)


 まぁ、そんなわけで、このようなメンバーになったのである。

 そして、ミサト達が乗っているヘリは、輸送船団の傍にまでやって来た。

「アレが第16独立連隊の護衛空母ですか・・・
(流石、世界でも最新鋭の艦、すげぇ〜)」

 黒服の1人が、海に浮かんでいる艦隊の大きな空母らしき艦を見ながら、そう言った。

「はん、あんな前時代的な物に載せて、何を悠長に運んでいんのよ。
 それに何で、第16連隊なんかを護衛にしているのよ。
 しかも、古臭い空母なんかで、海上なんて・・・」

 ロクに艦隊を見ていないクセに、第16と聞いただけで、ムスッとしながら、ミサトがそう言った。

 その瞬間、黒服達が吹き出したり、呆れたような顔で、ミサトを見たり、頭を抱えたりした。

「葛城作戦部長・・・
 予算(と言うか、技術)等の関係で、空輸が出来なかったので、その悠長な海上運用を指定したのはこちら側だ。
 それにあの護衛してくれている空母は、最新式だ。
(その気になれば、メノシキ粒子システムとかなんかで、飛べるらしいし・・・)」

 保安部第四課課長である黒川が呆れたようにそう言った。

 それに、二隻のタンカーを改造して作られたエヴァンゲリオン(と支部が閉鎖される時に回収できた機材関係)を運ぶ輸送船は、ネルフの支部(正確にはゼーレ)が準備したものである。

 これは、態々、自分達のシナリオ通りに事を進めようと言う考えもあるが、少しでも、ゼーレ関連の企業に売り上げをつくり、懐を少しでも回復させる為でもある。

 だが、海賊等に対する備えは、流石に自分達の所では、万全とは絶対に言えない(爆)ので・・・

 因みに、ゼーレの老人達も、 ゼーレ関連の企業自分達の子飼いの警備会社は、信用できないのである。(核爆)

 しかも、今回の場合、保険が利かない状態である。

 もし、自分ところで掛けても、運ぶものが運ぶものなので、もしもの時、確実に儲け(節税対策?)よりも、損害がでかいのである。
(時間的にも、戦力的にも、資金的にも)

 その為、護衛を副司令である冬月や、ドイツ及び、アメリカ支部の支部長達が、(ゼーレの指示で)何度も頭を下げて、国連、財団連経由で、第16独立連隊に頼み込んだ状態である。
(しかも、空路ではなく、態々、海上でと頼みこんだくせに、護衛料を値切ったという情報も・・・)

「それも、独房内で処理させた書類にあったハズだな。
 運んでもらうにしろ、機密を守る為に、エヴァを運ぶ輸送船には、有事の際以外では、向こうさん達をエヴァに近付けさせない様にする為に、エヴァを運ぶタンカーはネルフで準備したものだと・・・
 本当に内容を読んでサインしたんだろうな?」

「うぐ・・・」

 黒川の言葉に、ミサトは何も言えなくなる。

 何せ、リツコに、これを処理にサインすれば、また、一時的に外に出られると聞かされたので、渡された書類を読まずにサインをしただけで、誤魔化していたからだ。
(そして、ツケか何かで無理矢理ビールを飲み、トウジを拉致?しようと動いたのである)

 因みに、ミサトはGG発表会の失態の影響で、対外的にも本格的に階級が下がっている。

「・・・全然、可愛くない」

「あぁ・・・年を考えろ、年を」

「むしろ、不気味だ」

「だな・・・」

「やはり、お仕置きが足りないようですわね・・・ニヤリ」

 更に、黒川の部下達は小声でそんな事を話している。
(約1名、何か変な事を言っている気が・・・)

 因みに、黒川の部下達は、何故か、全員、大きなサングラスをはめている。

「でも、太平洋艦隊はどうしたのよ。
 本来、この辺りの管轄はあそこでしょ!」

 そして、詳しい経緯を知らない(と言うか、知ろうとさえしていない)ミサトが、何故か口元を引き攣らせながら、そう言った。

 黒川の部下達の感想は、聞かなかったフリをしたのである。
(特に最後辺りを・・・かな?)

「あそこは国連軍全域第16特殊特務独立連隊。
 つまり、この辺りは太平洋艦隊だけでなく、あそこの管轄でもあるから、あそこが・・・」

 だが、ミサトの言葉に、黒服の1人がそう説明していると・・・

「そ、そんな事を言ってるんじゃないわよ!」

 ミサトが怒鳴った。

『じゃぁ、何を言っているんだ』という突っ込みが入りそうである。

「言っておくが、護衛が太平洋艦隊から、第16になった原因は・・・
 本来、護衛につく予定だった太平洋艦隊の代表との前回の弐号機護衛の 前交渉打ち合わせの時に、(手当て目当てに)無理やりしゃしゃり出てきたドコゾのヴァ〜カが、コッチが頼んでいる立場なのに、相手に高圧的な態度をとり、更に、ちょっと注意されたくらいで、相手と仲介役に暴力をふるって、病院送りにした所為で、交渉自体がぶち壊れ、今回は、それを理由に拒否されたからだろう?」

 黒川の部下の1人が呆れながらも、嫌味っぽくそう言った。

「なぁ!
 ど、何処の馬鹿よ!
 そんな事をしたのは!」


 だが、黒川の部下の説明を聞いて、ミサトが怒鳴るようにそう尋ねた。

 すると、案の定、パイロット以外の者が、呆れた顔で、ミサトを見る。
(パイロットも溜息を吐いている)

「・・・な、何よ」

 その様子に、ミサトは怯んだ。

「「「「「お前だろうが!!」」」」」

「やはり、これらを持ってきて良かったですわ♪」

 そして、黒川の部下の黒服達は全員でそう言った。

 若干1名、しかも女性っぽいのが、何か違う事を言って、嬉々としながら、鞄をあさっているが・・・

「(コッチが頼む立場であるのにも関わらず、しかも、階級が下のクセに、向こうに命令口調で、偉そうに言っていたから、咎められたのに、見下すような態度を止めずに、要請したから、相手が、お返しにと、ネルフが役に立っていなかったというか、作戦部長の失策に関しての嫌味を言った途端、即効で相手のトップに手を出し、交渉を決裂させたのを忘れているのか・・・)」
(第三使徒が殲滅された後辺りで、弐号機を輸送する為に、国連軍との会合があったという設定です。
 無論、その後、護衛無しで、更にネルフの自腹で空路で運んだのである。
 そして、今回は最初から却下されたのである)

 そんな事は知らないとほざくミサトに、怒鳴ったり、文句を言ったりする部下達を横目で見つつ、黒川は、その時の会合を思い出して、溜息を吐いた。

 何せ、この女、嫌味を言った相手だけではなく、仲裁しようとして、間に入った将官クラスのお偉いさん(実はゼーレの草)まで、殴り飛ばしたのだ。

 しかも、相手は全員、最低でも全治二週間以上の怪我を負い、酷いのはまだ入院中である。

 全て、自分の蒔いた種なのに、この女は、すっかり忘れている。

 無論、ネルフは、その時の損害賠償を求められてもいる。

 当然、のらりくらりと言い訳をして、まだ払っていないが・・・

 そして、ミサトと黒川の部下達との言い争いがヒートアップしていく。

 ヘリの中である事を忘れ、ミサトが手を出すのは時間の問題だろう。

 因みに、今回、黒川が連れてきた部下は、全員、尉官クラス以上であり、ミサトより階級が高いし、ミサトが命令できるどころか、逆に全員がミサトに命令できる立場で、更に死なない程度なら、攻撃を加えることも許可されている。

「はやり・・・マジで、転職を考えるかな・・・
(いや、それとも部下を連れてにげるか・・・)」

 段々ヒートアップしていく後部の者達(約一名を除く)を横目で見ながら、黒川は小さく呟いたのであった。










To be continued...


(あとがき?)

 現在、ネルフにはチルドレンはトウジ1人しか居ません。

 因みに、コード707の生徒達の殆どは居なくなっています。

 まぁ、一部、残っていますが、大抵は疎開したり、親と供に別の所に転職したりして、引っ越して行った状態です。

 残っているのはチルドレンにされたトウジと、親が知らない間に居なくなり(今も気付いていない可能盛大)、某怪しげな特殊趣味を持つ某お人に保護され、新たな道に漬かり込んでいると思われるケンスケと、半ば判っていて、子供と妻を生贄にささげた某髭の犬の幹部の子供、それに頼る親戚のいない家の子供位です。

 まぁ、某髭の犬で、幹部というと少ないので、必然的に子供は少ないという事で、余り候補生は居ませんが・・・
(トウジと同年齢には、1人か2人程度です)

 つまり、第一中学はクラス替えというか、統合をする事となり、707は一般の生徒と混じる事となっています。
(それでも、一クラス以下とか・・・)

 また、いまだに使徒を倒せず、被害しか出していない為、その権限を縮小されており、チルドレンの強制徴兵は出来なくなっています。

 つまり、志願者しか、チルドレンにする事が出来なくなっています。

 まぁ、それでも、髭や電柱の事ですから、裏で手を回し、志願の強制をするのは間違いないですが・・・
(肉親を襲ってコアにしたり・・・)

 また、アスカですが、現在、ペンギンヴィレッジで飼育係のお手伝いをしています。

 キョウコも、アトラクション(ペンギン学校)の教師役をしていたりして・・・

 因みにペンギン学校ですが、年齢制限は在るものの、希望者はペンギン学校に体験入学が出来ます。

 レベル的には普通の学校と変わらない授業をしますので・・・
(無論、アスカも受けていたりします)

 尤も、一般公開しているのは小学生の低学年クラスまでの授業ですが・・・
(アスカは飲み込みが早い為、既に高学年クラスになっており、精神的にも成長して来ています。
 また、時々、一般公開をしている教室の教師役もしているとか)

 現在のところ、アスカが再び出てくる予定はありませんが、もし出てきても、かなり違った感じのアスカになりますので、余り期待しないで置いてください。

 しかし、いい副題が浮かびません(^^;)

 無くてもいいかな?

 それでは、次のお話で・・・



(ご要望にお応えして、ながちゃん@管理人のコメント)

ミサトって無能どころか有害ですよね。
いっつも周りの足を引っ張ってるし、極めつけはその自覚がないときた(笑)。
こんなんじゃ信頼関係なんて築けるわけがないですな。
でもどうしてここまで馬鹿なんでしょう?
脳が可哀相なことになってるんでしょうか?
一度開いて見てみたいものですね(笑)。

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