違う場所で 〜三国の歴史〜

第十七話

presented by 鳥哭様


「ここだね。」


シンジ達は今ちょうど大きな船の前に立っている。


その大きさは圧巻の一言で済んでしまう。


「誰か人がいるわ。」


船の前に下っ端らしき男が此方に向かって歩いてくる。


「あなたは?」


威圧的な声でシンジが語りかける。


「頭があなた方とお話・・・いえ、戦いたいと仰っている。上がれ。」


「命令・・・ですか?」


「そうだ。」


「・・・わかりました。ただし・・・」


「その女も一緒だ。そうじゃないなら・・・。」


「わかった。」


今のやり取りを聞いていて面白くなかった者達、3名が一斉にシンジの背中を思いっきり


抓りながら爪を抉りこませる。


シンジは本当に痛そうにしながら後ろを振り向いた。


「い・・・痛いよ。」


心からの苦痛を表しているシンジ。


「黙りなさい。また私達を足手纏いみたいに・・・」


「そうですよ。反省してくださいませ。」


「私も今のは怒るよ。シンジ・・・。」


シンジは今心から誓う。


絶対に自分はこの3人には逆らってはいけない事を。


今までも薄々は感じていたが、もう確信の域にまで突入した。


「ご・・・ゴメンナサイ。」


三人が疑いの視線を向けるが、しばらくすると苦痛の原因である手を解いてくれた。


痛かったな・・・3人とも容赦ないよ。


今後気をつけなきゃ。本当に肉が千切れるかと思ったよ。


「さあ、行きましょう。」


さっき抓った場所を優しく後ろから押してくる甄姫。


四人は船に乗り込んでいった。


その胸の中には不安などは一切ない・・・と言えば嘘になるだろう。


だが、恐怖はあまりない。


それはシンジの強さを知っているからだろうか?


違うだろう。


不思議とそういう感情が浮かび上がらない。


何故かはわからない。


だがシンジには何かがあるのだろう。


そう何かが。

























四人は船の船上にいた。


逃げ場を失くす様に、シンジ達が船に乗った瞬間に船は陸地から離れていった。


それから船の甲板に案内された。


そして、今シンジ達は水賊達に囲まれている状況だ。


かなり大きい楕円を描く感じだろう。


その人で作られた楕円の真ん中には6人の人間が立っている。


シンジ、甄姫、貂蝉、孫尚香、甘寧、周泰だ。


「まず自己紹介からいこうか。俺の名は甘興覇ってんだ。この水賊の頭をやってんだ。」


上半身半裸で如何にもガラの悪そうな雰囲気の男だ。


しかも腰には鈴を巻きつけて、右手には剣が握られている。


「この鈴は俺の分身だ。鈴の音鳴るところに甘興覇あり。知っている奴にはそんな風な


通り名まで付けられているほどだぜ。」


そう言ってシンジの方に歩み寄ってくる。


シンジの目の前で歩みを止め、床に刀を突き刺す。


「さっきの襲撃は・・・まあ水賊の頭としての挨拶だ。そしてこれは、一人の武人として


のさっきの非礼と謝罪の意味も含めた挨拶だ。」


そう言って右手を差し出してくる。


「僕の名はシンジ。願われざる来訪だけど、あなたは賊ではあるが、悪い人間ではないと


思います。だから僕も一人の武人として答えさせてもらいます。」


そう言って甘寧の手を握り返す。


「ああ、それと向こうの長身の兜付けた男は、周泰。字は幼平だ。


無口だから俺が変わりに紹介させてもらった。ああ、それと他の嬢ちゃん達の説明は


いい。いちよ、全員知ってるからな。」


その言葉にシンジが反応する。


「なんで・・・ですか?」


彼女達の目の前に立ち、彼女達を守るようにして問いかける。


「ある人物から・・・その嬢ちゃん達を攫えと命令が・・・」


シンジは最後までその言葉を言わせなかった。


その甘寧の言葉にすぐさま反応し、抜刀して切りかかった。


甘寧はそれを後ろに軽く飛んでかわす。


「話は最後まで聞けよ、坊主。そういう命令があった。だが、さっきまでは攫うつもり


だったが、部下達を誰一人殺さなかったり、そうまでして自分の女を守る男はこの乱世に


そうはいねえ。俺等は人を殺す水賊だが、どいつもこいつも人情話にゃ滅法弱い。


お前らの話を盗み聞きしてた部下達から、反対意見が多数出てな。


さっきお前らを出迎えた奴もその一人だぞ。素直じゃねえ奴だからそんな素振りは


一切見せねぇけどな。」


「じゃあ、なぜ僕達を船に呼んだんですか?」


「なあに、話は簡単だ。その嬢ちゃんたちを攫う気はねえ。俺等は今から自分達の実力で


っと・・・危うく口を滑らせる所だった。まあ、こっちにも色々事情があるんだよ。」


部下を攫われて、それをネタに脅迫されてた等とは口が裂けても言えない甘寧であった。


「ああ〜〜・・・つまりだ!!!俺等は単純にお前らと戦いたい!


それじゃダメかい?俺らにはそれで理由は充分なんだが。確かに俺等はどいつもこいつも


人情話にゃ滅法弱い・・・だがそれと同じぐらい戦好きの奴が多いんだよ。」


シンジがその話を聞いて断ろうとしたその時だった。


「私は別にいいよ。」


孫尚香がいきなり賛成の意を示してきた。


「尚香!?」


「だって私も久々に戦いたいもん・・・。」


シンジは尚香の性格を忘れていた。


彼女も根っからの武芸大好き、戦闘大好きのじゃじゃ馬娘だ。


「なら、私達も・・・」


「なっ・・・!!」


シンジは開いた口が閉じられなかった。


二人がこんな意味のない戦いをすると思わなかったからだ。


「だって私達の力がどれ程かを知るには良い機会ですしね。」


そう言って貂蝉が武器を取り出す。


「仕方ないか・・・。」


シンジは一度言い出すと聞かない彼女達を説得するのを諦めた。


「おっ!!やってくれるかい!!・・・いくぜぇ!!」


甘寧が床に刺さっている刀を押し切る感じに切り上げてくる。


シンジもさっきの甘寧に習ってか、同じようにして避けた。


「幼平!!お前らはそっちの嬢ちゃん達の相手をしてやんな。ただし・・・殺すなよ。」


「・・・承知・・・。・・・そなたらは・・・こちらへ・・・。」


そう言うと甘寧たちが戦っているのから少し遠ざかっていく。


「おらおらおら!!!!まだまだ行くぜぇ!!」


甘寧は一見力任せの攻撃で来るかと思ったが、体全体のバネを使っての連撃でシンジを


追い詰めていく。


確かに強い・・・。でも、頂角と比べると弱い。何とかなるかな・・・


シンジは甘寧の斬撃を全て見切り、刀で弾いていく。


そして、甘寧が一際大きく刀を振りかぶったその時だった。


シンジが彼の視界から消えた。


「んなっ!?」


甘寧は宙を舞っていた。


シンジは一瞬で甘寧の横をすり抜け、その横をすり抜ける時に甘寧の足を払っていたのだ。


甘寧は空中で体制を立て直し、地に足が着くとシンジに向けて突撃してくる。


その勢いに任せて刀を振るってきたので、シンジはそれを受け止める。


「ぐあっ!!!」


あまりの斬撃の強さにシンジの右手が痺れてしまったのだ。


くそっ!!!何て馬鹿力だよ。しばらく左手一本で戦うのか・・・この人相手にそれは


辛いな。何かいい手はないかな?


一旦シンジが後ろに飛び退く。


「強いですね。僕はあんまり場数を踏んでいるわけじゃないけど、あなたがかなりの


人物だと言う事は解りますよ・・・。」


「おめえもな。もしかしたら幼平とも同等かもな。そして俺とも・・・


さあ、そろそろ御喋りは終いにするか。時間稼ぎだろ?目的はよ。大方さっきの一撃で


手が痺れた・・・当たりだろ?おめえみたいな坊主が、そう易々と受け止められる一撃


じゃねえ。」


確かにその通りだ。


実際に受けた事はないけど、関羽さんと同じだけの力があるかもしれない。


気を抜いたら死ぬ・・・。


「さあ・・・滾るぜ!!!!!」


刀を水平に構えると、身を屈めながら物凄い勢いでこちらにかけてくる。


これをまともにくらったら・・・死ぬな。受け止めてもアウトだ。


なら・・・「かわすしかないか。」


シンジは甘寧が距離を詰めるのより早く右に飛ぶ。


「逃げようたって・・・」


さっきより一層腰を屈めると、シンジの飛んだ方向にほぼ直角に曲がってくる。


「そうはいかねえぜ!!」


「くっ。」


シンジはまだ地面についていない。


今の体勢では全く避けようがない。


それをシンジは瞬時に判断し、刀の唾に指を掛ける。


「でた!!!!頭の一撃必殺。『荒波』だ。」


周りの部下達が一斉に騒ぎ出した。


どうやらこの突撃から繰り出される一撃こそが、甘寧の最大にして最強の技であるようだ。


「なら・・・。」


シンジの今できる最高の技・・・といっても単なる抜刀術でしかないのだが。


それで対抗するのがベストだとシンジは判断した。


あれこれ考えている内に甘寧はもう目の前まで来ていた。


刀がシンジの腹の数センチ手前まで迫る。


ここだ!!!!


鞘から刀を瞬時に抜き出し、鞘走りを利用し更なる加速を上乗せしている。


しかも強烈な腰の捻りも加わっている。


本来ならこれで相手の首が飛ぶ。


だが今シンジは宙に浮いている状態。


それではまともな抜刀術などは期待できない。


刀の速度も地上にいるときと比べたら半分にも満たないであろう。


まあ空中にいようともシンジの抜刀術は並ではない。


その剣先は自分に迫り来る刀を狙っている。


速いのはシンジの剣だろうか。


それとも甘寧だろうか。


まるでコマ送りのようにゆっくりゆっくりと甘寧の刀が自分の腹に迫ってくるのを感じる。


そのコマ送りの甘寧の剣を狙うのは自分の刀だ。


金属と金属がぶつかる音と共に少量の血が飛び散った。


甘寧の剣が少しだけシンジの腹を切ったのだ。


だが、所詮掠り傷だ。


甘寧は大技を弾かれ、その衝撃でシンジに背中を向けた状態だ。


今だ!!!これで決める。


シンジは甘寧に切りかかった。


その瞬間、甘寧がそこから物凄い速さで振り向いた。


銀色の横一文字の線が自分の前を通っていく。


「がっ!!!!」


切られたのか?全くわからなかった・・・油断したか。


シンジは苦痛に顔を顰めて、膝を地面につけた。


甘寧はそれを見ると、肩に刀を担いで追撃の姿勢を解く。


「坊主・・・お前は単純な実力だけでいうと俺よりずっと上だ。だがな坊主、お前は


戦いに慣れてねえだろ?1対1のな。恐らくは山賊ら相手に戦ったりしてたんだろうが、


全てにおいて正直すぎんだよ。だから読みやすいし、罠をしかけりゃ簡単にかかる。」


痛みの中でシンジはその言葉を聞いていた。


彼の話には思い当たるふしがある。


何日か前にやった、甄姫達との3対1の試合。


あの時も、バカ正直に攻めて返り討ちにされたのだ。


シンジの身体能力は確かに高い。


だが戦い方がなっちゃいない。


頂角も零壱がいなければ今頃シンジ達はとっくに死んでいたのだから。

「どうだい?俺の部下になってみねえか?部下になったからって俺の命令に奴隷みたいに


従えって訳じゃねえ。ただ気にくわねえ野郎どもを潰して、食料を手に入れて流れる


気楽な旅と同じに考えてくれ。それにあの嬢ちゃんたちに手を出さない事も約束してやる。


傷は深くはねえが、もうお前さんは戦えねえだろ。死にはしねえが手当てをしなきゃ


危ないしな。考える時間はやらねえ。さあ返事を聞かせろや。」


「・・・嫌だ。人から物を無理矢理奪って生きるなんて嫌だ!!!」


刀を杖代わりにして、ゆっくりと立ち上がる。


「・・・そうか。なら仕方ねえか・・・。」


甘寧はゆっくりと刀を構えなおす。


シンジも刀を構える。


「それにしても変わった刀だな。真白の刀身・・・聞いた事すらねえが相当良い


業物なんだろう?」


「さあ?これはある人から譲ってもらったものだ。詳しい事は良く知らない。」


「まあこれぐらいで話は切り上げるか・・・。」


どうする?あの人の言うとおり僕には戦い方なんて知らない。


今までもただ思いつくままにやって来た。そして今その戦い方では勝てない。


でも今すぐ、その戦い方を変える器用さもない。


どうする・・・?


シンジが集中していくに従い『虹綾』がぼんやりとだが光りだす。


それは本当に凝視しないと解らないほどの光ではあるが、確かに光っているのだ。


誠に不思議な刀である。


そして、刀が光ったのと同時にシンジの傷口も光始めた。


これも刀の光同様に誰も気づけない程のものではあるのだが・・・。


「行きます。」


やはり、後にも先にもシンジの最大の武器は瞬足。


シンジはその脚力で一気に甘寧の後ろに回りこむ。


そして音も無く、刀を甘寧の心臓に向かって突き出す。


「後ろだろ?音出さなくても解るぜ。」


甘寧にはまるで通じなかった。


シンジの刀は甘寧まで後数センチの所で止まっていた。


同時に甘寧の刀もシンジの首元に後数センチの所で止まっていた。


シンジが後少し距離を詰めていたらやられていただろう。


一旦両者間合いを取るために離れる。


「だがここまで、その俊足を取っておくとはな・・・少しだが焦ったぜ。


まあ、俺に勝つにはちいっとばかし足りないけどな。」


確かにシンジはあのサードインパクト後の世界で色々な事を知った。


だが、知っていても実行できるとは限らないのだ。


シンジにはその豊富な知識の中でも実行できる事もあったが、未だやれてない事の方が


多いのである。


シンジは力の差が均衡な者との戦いが如何せん少なすぎた様だ。


あの関羽と出会ったときに一戦交えていれば、恐らく関羽もその事を指摘しただろう。


まあ、あの状況でそんな事を言えるほど、シンジは戦好きではないのだが・・・。


まずい・・・。足も剣も通じない・・・。かといって戦術なんて考えても、あっちは


本当の百戦錬磨で戦闘のプロフェッショナルだ。僕の浅はかな考えじゃ裏をかくのは


無理。抜刀術で構える前にやるか?ダメだ。恐らく見極められる。その後にカウンターを


喰らって痛い目を見るだけで終わる気がする。何かないか?何か・・・良い手は。


「そういや・・・。」


いきなり甘寧が話しかけてくる。


「知ってるかどうかは知らねえがお前の連れの元気な嬢ちゃん。ありゃあ呉の孫堅の娘


『孫尚香』だろ?何でそんな大物が何処の馬の骨とも知れねえ様な男と一緒にいるんだよ。


それにもう一人の嬢ちゃん。あれだって相当良いところの娘さんだろ?今から何年か前に


山賊に襲われて滅びた名家の娘『甄姫』。とっくの昔に死んだと噂に聞いてたのに、まさか


生きてるとは夢にも思わなかったぜ。しかも、極上に良い女ときてやがる。それと最後の


一人もこれまた裏じゃ有名な『貂蝉』だ。世の安定の為に自らの体をあの豚に奉げようと


した健気なお嬢様だ。まあ、それも豚にばれて父親は劉備って奴の所に転がり込んで


難を逃れたが家来や他の者達は全滅という噂を小耳に挟んだんだが・・・これもデマか。


まあ、前置きはこれぐらいにして・・・俺は武人としてじゃなく、水賊の頭としても


お前さんに興味津々って訳よ。お前さんの何処に其れほどまでの女を魅了する原因が


あるのか・・・つまり人徳っていうのか?それを見極めてみたいとも思っているって


こった。殺すにゃ惜しい・・・坊主・・・いやシンジ、お前にはそれほどの価値がある。」


シンジにとって自分が認められるのはあまり慣れた事ではなかった。


しかも、ここまでベタ褒めされる等、人生で初めてかもしれない。


サードチルドレンとしては、自分を褒めてくれる人はいた。


例を挙げるなら葛城ミサト。


だが、誰も碇シンジを褒めるものはいなかった。


碇シンジとして見てくれるのは、アスカとレイの二人だけ。


後、死ぬ間際までは霧島マナも碇シンジとして見ていただろう。


彼は今非常に困惑していた。


彼は考えも纏まらない内に喋りだした。


「僕は・・・絶対に彼女達を守る。それが僕の生き甲斐、僕の全てだ。


ついさっき彼女達を攫おうとしていた貴方達の仲間になるなんて虫が良すぎます。


僕はそこまで器も広くない。僕は臆病で、卑怯で、弱い人間・・・つまりはクズさ。


でもそんな僕を彼女達は信頼してくれている。だから万が一にも彼女達に危険がある


ここの仲間にはなれません。」


シンジは甘寧の目をしっかちと見てそう答えた。


「目が澄んでいる奴は心が綺麗・・・そんなもんはハッタリだ。俺はそう思っていた。


だが、坊主。あんたはどうだい?その澄んだ綺麗な目は。一切迷いのねえ目だ。


さらに、そこまで女を守ろうとする男も見たことねえ。どんな奴でも我が身可愛さに


自分の妻や妾を捨てて逃げていく糞野郎は今までに何人も見てきた。そしてこの依頼を


受けた時もどうせ他の奴らと同じなんだろうと思っていたぜ。だが違った。


俺らに立ち向かってきやがる。だからお前にも真実って奴を教えてやる。


俺がこの仕事を請けた理由と誰が俺達にそんな事をさせたかだ。」


長い話になるのか甘寧は刀を床に突き刺す。


「話してくれ。」


シンジも刀を鞘に収める。


「まず、何故この依頼を引き受けたか。話は簡単だ。部下が『唯』って国に捕まって


助けて欲しければ・・・・ってな感じで見事に脅迫されちまった訳だよ。


情けねえ話だろ?まあ、重要なのは次の話だ。俺にその仕事を強要した男だ。


髭面に目に黒い・・・眼帯ではねえな・・・。ありゃあなんていうんだろう?」


甘寧はサングラスの事をなんで呼ぶか解らずにいる様だ。


髭に・・・恐らく彼が言いたいのはサングラスの事だろう。


でも・・・まさかね。そんな事がある訳ないか。


「ああ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・とりあえず目に黒い妙な物を付けてるんだよ!!!!


それでその男の名はゲンドウ・・・『碇ゲンドウ』と言うらしい。そして、何度も何度も


碇シンジは絶対に殺せと言っていた。お前ら知り合いなのか?それとも親子かなんか?」


「・・・そいつが彼女達を攫ってどうしようと?」


「決まってんだろう?犯すんだよ。身も心もズタボロにな。後数日で呉の有名な二喬も


奴の手に落ちるんだ。既にどっかの雇われた賊達が妙な物使って攫って運んでいる最中


だろうな。孫尚香だって、その物には手も足も出ずに捕まったってそうだ。


だが、間一髪の所でお前さんが助けたと。」


「うん・・・。」


「それと、結局碇ゲンドウとはどういう関係なんだよ?」


「血の繋がった他人ですよ。でも・・・なんで?今は悩んでいる暇はないか。


所で唯の国にはここからどの程度の所に?


「馬でなら一日半あれば行ける距離だ。よっぽど良い馬ならな。」


「・・・まずはあなたを倒す。そして僕は『唯』に向かう。そこで僕は過去に見切りを


付ける・・・そうしないと僕はいつまでたっても・・・」


サードチルドレンのままだから。サードチルドレン『碇シンジ』。


それは自分が人間として否定されている証。


使い捨ての道具、使い捨ての人形としての勲章。


僕はそのままではいたくない・・・だから。


「次で終わりにしますよ。」


シンジの目が赤く輝いた。


シンジの黒髪が風に靡く。


決着はすぐそこのようだ。






To be continued...

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